Googleがウェブブラウザ『Google Chrome』に広告ブロック機能を搭載する事を発表しました。
Googleと言えば検索エンジンですが、検索エンジンの主な収入源は”広告収入”という事で、Googleは広告ブロックには消極的でした。
それがなぜ今頃になってChromeに広告ブロック機能を搭載するのでしょうか。
今回は、『Google Chrome』に広告ブロック機能を搭載を決めたGoogleの動きについてです。
目次
Google Chromeでの広告ブロックとは
米国時間2月15日、Googleが自らの生命線でもあるオンライン広告ブロック機能をChromeに搭載することを発表しました。
では、”なぜ”広告ブロック機能をChromeに搭載するのでしょうか?
それは、パソコン・スマホ合わせて何億人とも言われるユーザーが『すでに広告ブロックツールをインストールしている』ことが要因で、”Chromeもその流れに続いただけ”というわけですね。
現在Chromeブラウザはパソコンとスマホ合わせて56%のユーザーがおり全世界の2人に1人がChromeブラウザを使用している計算になります。
Chromeウェブプラットフォーム担当プロダクトマネージャーRyan Schoenの発言
Chromeの広告ブロックの取り組みは、広告で埋め尽くされていたり、不愉快な広告で質が定価しているサイトをウェブからから取り除く事を目的としている。
われわれはウェブを、企業が繁栄し、収益を上げられる場にしたいが、同時に、ユーザーが良い体験を得られる場所にもしたい。この取り組みで、ウェブのエコシステムに適したバランスを取り戻したい。
ウェブ広告のデメリット
広告には幾つかの欠点があります。
- 広告が表示されるせいでウェブサイトの表示が遅くなる
- スマホのバッテリーの消費が早くなる
- ユーザーの興味に合う広告を表示するためにトラッキングされる
そこまでの欠点はないにせよ、ウェブサイトが見にくくなってしまい、スマホのバッテリーの消費が早くなるのは、現在の流れに逆行していると言えますね。
ウェブ広告のメリット
- ユーザーが興味がある広告を表示してくれる
- そのサイトには無い物を提案してくれる
無理やりメリットを上げた感じがありますが、広告とはそういうものです。
テレビを見ていてCMになって喜ぶ人は居ないでしょうし、”広告=邪魔な物”という認識しかないでしょう。
おそらく、広告が表示されて喜ぶのは広告を表示している側だけだと思います。
では、Chromeの広告ブロックとはどういうものになるのでしょうか?
Google Chromeの広告ブロック方法
Chromeの広告ブロック機能はまだ始まったばかりで、『Coalition for Better AdsのCoalition for Better Adsに準拠しないサイトにおいて、Chromeでの広告表示を停止する』というものです。
要するに、Coalition for Better Adsに準拠しない広告をChromeが勝手にブロックしてくれるということです。
Chromeのアドブロック対象:パソコン版
ポップアップ広告
ページの主要コンテンツをポップアップして邪魔する、インタースティシャル広告の一種です。
ページのコンテンツが読み込まれた後に表示され、ウェブサイトへの訪問者の多くが迷惑だと感じています。
画面全体に表示されるものも、画面の一部に表示されるものも、どちらも含まれます。
声付自動再生動画広告
ユーザーが何も操作しなくても、勝手に音声付で再生されてしまうアウトストリーム動画です。ユーザーは慌ててウェブページ自体のタブやウィンドウを閉じてしまいます。
なお、無音で再生されるものについては「許容されない広告」ではありませんでした。
また、ページ自体のコンテンツに関連する動画コンテンツ中に再生される広告(プレロール広告、ミッドロール広告)についてはまだテストされていません。
カウントダウン付プレスティシャル広告
コンテンツが読み込まれる前に表示され、閉じるボタンが出るまでカウントダウンされる広告です。ユーザーは広告を閉じるまでページのコンテンツを見ることができません。
なお、デスクトップ環境では、すぐに消せるプレスティシャル広告については「許容されない広告」ではありませんでした。
大型スティッキー広告
画面占有率が30%を超える画面下部に固定表示される大型バナーのことです。
スクロールしても表示されつづけるため、ページビューの一部に表示され続け、ユーザーの妨げになります。
Chromeのアドブロック対象:モバイル版
ポップアップ広告
デスクトップと同様に、ページの主要コンテンツをポップアップして邪魔する、インタースティシャル広告の一種です。
プレスティシャル広告
デスクトップと同様に、コンテンツが読み込まれる前に表示される広告です。デスクトップとは違い、カウントダウンがないものも「許容されない広告」に含まれます。
フルスクリーン表示のものから、スクリーンの一部の表示までサイズが異なります。また、別ページが単独で立ち上がるものもこれに含まれます。
メインコンテンツの高さに対して占有率が30%以上の広告
ページのメインコンテンツ部分の垂直高さの30%以上を占める公広告は、ユーザーの操作の妨げになります。
これはテキスト、動画・静止画にかかわらず「許容されない広告」に含まれます。またインライン広告とオーバーレイ広告ともにこれにあたります。
点滅する広告
背景や色が急激に変化したり点滅したりするアニメーション付広告はユーザー二不快感をもたらすため、「許容されない広告」に含まれます。
点滅しないアニメーション広告は「許容されない広告」には含まれませんでした。
音声付自動再生動画広告
デスクトップと同様の、ユーザーが何も操作しなくても、勝手に音声付で再生されてしまうアウトストリーム動画が「許容されない広告」に含まれました。
プレスティシャル広告
ページを遷移した際に表示されるカウントダウンタイマー付の広告です。
ユーザーはコンテンツを閲覧するためにカウントダウンを待つか、諦めてページを閉じることを強要されます。なお、閉じるボタンのついているカウントダウン付広告は「許容されない広告」には含まれませんでした。
全画面スクロールオーバー広告
コンテンツの上に被さるようにスクロールしてくる広告です。
これらの広告は画面の30%以上を占め、サイトコンテンツの閲覧を妨げるほか、操作を複雑にするため「許容されない広告」に含まれました。
これはインライン広告とは異なります。
大型スティッキー広告
デスクトップ同様、固定表示される大型バナーのことです。
いわゆるオーバーレイ広告で、画面占有率が30%を超える大型のものを指します。
こうした広告をブロックした場合に、Chromeからのメッセージが表示されます。
このメッセージはなぜ広告がブロックされたのか?、広告のブロックを解除するか?の選択肢を提案するものです。
Googleでは、ウェブサイトを解析し、Chromeで過度に強調されているサイトに警告しているそうで、警告後も改善されないサイトはブラックリストに登録され広告が配信されなくなります。いわゆる『アボセンス』というものですね。
サイト運営者は一度、自分のサイトがCoalition for Better Adsに準拠しているか確認する必要があるでしょう。
自分のサイトがCoalition for Better Adsに準拠しているか確認する方法
Google は今回の発表の中で、Webサイト運営者に対して Coalition for Better Ads に準拠しているか確認できるツールとして、新しい「広告エクスペリエンスレポート」を活用するように呼びかけています。
この「広告エクスペリエンスレポート」はサーチコンソールから簡単にアクセスできるので、確認しておくことをおすすめいたします。
サーチコンソールを開き、サイドバーのメニューから「Web Tools」をクリックします。
「Web Tools」の画面に切り替わったら、「広告に関する問題」をクリックします。
Chromeの広告ブロック機能は広告の完全排除が目的ではない
Chromeウェブプラットフォーム担当プロダクトマネージャーRyan Schoen氏は、すべての広告を完全に排除するのが目的ではないと明言しております。
「もしもすべての広告を完全に排除してしまえば、サイトを運営する資金がなくなり、干上がってしまうだろう」
Google Chromeに広告ブロック機能、ウェブサイト運営者が取るべき行動とは、まとめ
この問題は昔から議論されていますね。
過去にはAppleがiPhoneなどのブラウザ”サファリ”にデフォルトで広告ブロック機能をつけたことで、一度話題になりました。
その時はAppleというiPhoneなどのハードウェアをメインの売上にしている企業だったので徹底的な広告排除となりました。
今回は、”広告での売上に頼っている検索エンジンのGoogle”のChromeに広告ブロック機能がつくということで、これからどうなっていくのかが気になりますね。
最後にSchoen氏は「まだ最初の一歩に過ぎない。われわれはこれまで長年この問題に取り組んできた。今後もユーザー体験改善のために1歩ずつ前進していく」と語っておりました。